以下の質問について、出演者の先生方に回答をいただきました。 8月8日までの予習として、ご参考にしてください。


【質問1】PCR検査の実態や信頼性について

PCR検査は、何がわかり、陽性とはコロナ感染の何がわかるものでしょうか?また陽性と感染の違いで注意しなければならない点はありますか?それについてのご意見、私見、参考になるサイトなどがございましたら、お願いします。

【永田良一先生からの回答】

PCRで検出しているのは、ウイルス遺伝子(新型コロナウイルスRNA)の断片です。PCR検査が陽性とは、新型コロナウイルス遺伝子の断片が存在することを意味します。すなわち、新型コロナウイルスが身体に存在するか、あるいは少し前に存在した痕跡を示します。感染の定義は、「ウイルスが人間の細胞内に侵入・増殖すること」で成立しますが、PCRはウイルス遺伝子の断片を検出する技術ですので、ウイルスが人間の細胞内に侵入したかどうかは判別できません。したがって、PCRが陽性となるのは、感染が成立している場合、ウイルスが細胞に感染する前の体内に存在している段階、感染から回復した後で感染能力のないウイルスが存在した場合、です。一方、感染していても検体サンプル(鼻咽頭ぬぐい液や唾液)の採取法が適切でなかったり、感染初期でウイルス量が非常に少ないと陰性となる可能性もあります。

●参照:「新型コロナ「検査の陽性者」=「感染者」ではない…!PCR検査の本当の意味」 本間真二郎


【池田裕美枝先生からの回答】

検査には、感度と特異度があります。感度は、病気があるときにその検査が陽性になる割合。特異度は、その検査が陽性であったときに本当に病気がある割合です。

PCR検査は、感度が高くて70%程度、特異度は99.9%です。

 どういうことかというと、地域住民の1%に感染があるような状況で、1000人にPCR検査をすると、感染者10名のうち、PCR検査陽性となるひとは7名、陰性となる人は3名です(本当は感染しているのに検査で「感染なし」と判定される人が3名)。非感染者990名のうち、1名は検査陽性となってしまいます(本当は感染していないのに検査で「感染あり」と判定されてしまう人が1名)。 

この、「本当は感染しているのに検査で『感染なし』」と判定されてしまう人の割合は、地域住民の感染割合が高くなれば高くなるほど多くなります。このことがそれなりに危険なのは、皆様にも想像していただけると思います。

一方で、感染が広がっていないのに全例にPCR検査をすると、今度は、「本当は感染していないのに検査で『感染あり』」と判定されてしまう人の数が多くなります。検査が陽性になると、感染者と一緒に隔離されてしまうかもしれないので、これはこれで非人道的なことになります。 

みんなで地域の感染者数を減らすこと、そして検査ありきで行動しないことが、PCR検査の有用性を高める上でも大切です。 

*追記:PCR検査は感染力を失ったウィルスでも陽性になります。1年以上の新型コロナウィルスの臨床知識の蓄積で、発症後10日もたてば感染力がなくなることがわかったために、まだPCR検査検査が陽性でも、発症日から10日かつ症状軽快後で72時間隔離解除になります。


【関口由紀先生からの回答】

Kucirka 3らの結果から感度を示すとすると、感染から8日目(症状発現の3日後)に偽陰性割合が最も低くなり、その値が、20%(95%信頼区間:12% ― 30%)となることから、感度として一番よい値になるのが、感染から8日目(症状発現の3日後)の80%(95%信頼区間:70%-88%)となります。

●参照:新型コロナウイルス感染予防対策についてのQ&A 一般社団法人日本疫学会

【質問2】ワクチン影響による不妊・流産への不安について

ワクチン接種による不妊の不安、妊婦さんの接種による流産の不安が若い世代で根強く残っているそうです。これについて、安心できる情報をサイトのアドレスでご紹介いただけたら幸いです。

【関口由紀先生からの回答】

「新型コロナワクチンにおいて不妊にはならない。」のが原則です。

●参照:「不妊治療・妊娠のため新型コロナワクチン接種を止めるべきか」 亀田IVFクリニック幕張


【池田裕美枝先生からの回答】

●参照:「新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて」
日本産婦人科学会 
木村正、日本産婦人科医会 木村勝之、日本産婦人科感染症学会 山田秀人

●参照:「COVID-19ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ」
日本産婦人科感染症学会、日本産科婦人科学会


【対馬ルリ子先生からの回答】

●参照:妊産婦の皆様へ 新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて
日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会

【質問3】ワクチンの遺伝操作的な不安について

事前インタビューでも触れましたが、初めてのワクチンで、しかもmRNAワクチンという新技術ということもあり、様々な不安がネット上を飛び交っています。mRNAによる遺伝子改変についてのご意見、また不安解消できるような情報をサイトのアドレスでご紹介いただけたら幸いです。

【関口由紀先生からの回答】

メッセンジャーRNAとは、遺伝子であるDNAの情報を伝達し、体内でタンパク質を合成し、このタンパク質が、ホルモンや神経伝達物資や抗体などになって、体に影響をあたえるものなので、直接遺伝子であるDNAに影響を与えることはありません。

●参照:厚生労働省HP 新型コロナワクチンについて
新型コロナワクチンQ&A
Q. mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンはワクチンとして遺伝情報を人体に投与するということで、将来の身体への異変や将来持つ予定の子どもへの影響を懸念しています。


【池田裕美枝先生からの回答】

●参照:新型コロナウイルス(COVID-19)診療所・病院におけるプライマリ・ケアにおける情報サイト
日本プライマリ・ケア連合学会 予防医療・健康増進委員会 感染対策チーム
かなりわかってきた新型コロナワクチン
(2021年6月25日開催 オンライン講演会 録画)

●参照:コロナワクチンへの不安を少しでも減らしたい医師たちのプロジェクト
コロワくんサポーターズ

【質問4】その他

その他、コロナ感染全般、ワクチン接種に関することで知っておいた方がよい情報、目を通しておいた方がよい情報サイトなどがありましたらお教えください。

【明橋大二先生からの回答】

●参考:コロナ×こどもアンケート
国立成育医療研究センターが発表した、コロナのこどものメンタルヘルスへの影響

●参考:ナショナル ジオグラフィック日本版記事
CDCが7月19日に公表した、ワクチン接種後感染についてのデータ


【対馬ルリ子先生からの回答】

副反応について

●参考:「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」厚労省のホームページ

●参考:厚生科学審議会資料(pdfファイル)
各メーカーの添付文書のリンク一覧があります。

副反応疑い報告基準について(資料1)をご確認ください。

●参考:厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)

→「死亡例の報告について」は以下の資料ご確認ください。
 資料1-3-1
 資料1-3-2
 資料1-5-1

→「アナフラキシーについて」は以下の資料ご確認ください。
 資 料1-4-1
 資 料1-4-2
 資料1-5-1

→「心 筋炎・心膜炎について」は以下の資料ご確認ください。
 資料1-5-1
 資料1-5-2